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自然光とストロボの違い

2025 Sep 23|その他

はじめに:写真は光の記録である

写真は、光を写す行為です。
わかっているようで、普段あまり意識されていないこの事実。
光がなければ、写真は成立しません。明るさも、色も、立体感も、すべては光の振る舞いによって生まれています。

でも、多くの人は「光そのもの」よりも「被写体」にばかり目が向いてしまいます。
逆に言えば、光を見ることができるようになると、写真の見え方も撮り方も一変するのです。

この記事では、自然光とストロボの違いを軸に、「光とどう付き合うか」「どう読み取るか」をやさしく解説していきます。
機材の話だけでなく、どう世界を見るかという感覚の話でもあります。

1. 光は「感じるもの」でもあり、「考えるもの」でもある

部屋に差し込む朝の光、曇りの日のやわらかい影、窓際にできる光のグラデーション。
普段、無意識に目にしている光の状態が、実は写真の印象を大きく左右しています。

自然光の特徴は、“その場の空気ごと写し込む”こと。
時間帯や天気によって刻々と変わり、だからこそ、その瞬間だけのかたちのない感情を写せるのです。

一方、ストロボ(フラッシュ)などの人工光は、より“意図的な操作”が可能です。
明るさ・方向・硬さをコントロールすることで、写真を作ることができるのが最大の魅力。

どちらが正解、という話ではありません。
大切なのは、「この写真にどんな光が必要か?」と考えられるようになること。

2. 自然光の魅力と、難しさ

自然光には、やわらかさムードのニュアンスといった、
人工的には再現しにくい“質感”があります。

特に、

  • 曇りの日の窓際:やわらかく、肌をきれいに見せる
  • 朝方や夕方の斜光:立体感やノスタルジーを演出
  • 光と影のコントラストがある場所:ドラマチックな演出が可能

しかし同時に、

  • 時間や天気によって大きく左右される
  • 撮影のたびに光の条件が違う
    という“不安定さ”もつきまといます。

でも、それが“現実そのもの”のようで、その日その瞬間の気配を写し出す魅力にもつながります。

3. ストロボは「光をつくる」道具

一方でストロボは、“理想の光”を作り出すための道具です。
暗い場所を明るくするだけでなく、被写体の陰影や質感、空間の雰囲気までコントロールできます。

たとえばスタジオでは、

  • 柔らかい光で肌を美しく見せる(ディフューザーやソフトボックス)
  • 光の方向性を意識して顔に立体感を出す(レフ板や多灯ライティング)
  • 背景を落として被写体を際立たせる(背景と被写体の光を分ける)

など、「光を設計すること」そのものが表現になっていきます

ストロボを使いこなすということは、自然光では届かなかった「意図」や「精度」を手に入れることでもあるのです。

4. 光を見る=時間を見ること

自然光とストロボの話は、最終的に「時間」との関係にも行き着きます。

自然光は、常に変化していきます。
だから撮影者は、“今この瞬間”の状態をよく観察して、その光をどう活かすかを考えながら撮ります。

一方で、ストロボは時間を“止める”ような行為です。
光を設計し、条件を固定して、一定の美しさを再現することができる
それは、“時間の流れ”から一時的に切り離された空間とも言えます。

「写真は時間の断片を写す」──
光をどう扱うかは、その“断片”の切り取り方そのものなのかもしれません。

5. 光を味方につけるには、まず観察することから

技術や知識ももちろん大切ですが、光を理解する最初の一歩は、**「観察すること」**にあります。

  • 今、どこから光が来ているか?
  • 光は硬いか?やわらかいか?
  • 被写体のどの部分に光が当たり、どこが影になっているか?

そうしたことを日常の中で少し意識するだけで、世界の見え方が変わってきます。

スタジオであっても、屋外であっても、光は常に何かを語りかけています。
それを聞く耳を持つことが、写真にとって大切な態度なのかもしれません。

おわりに:光と対話するように、写真を撮る

自然光もストロボも、どちらも素晴らしい“表現のための道具”です。
重要なのは、それぞれを「どう使うか」ではなく、「どう感じるか」そして「どう選ぶか」。

この光は、何を引き出すのか?
この被写体には、どんな光が似合うのか?

そんなふうに光との対話を楽しむことができるようになると、写真は単なる記録から、
あなた自身の感性を映し出す表現へと変わっていきます。

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